水虫は誰でも知っている病気ですが、どこから来るのでしょう!?
水虫を起こす菌は白癬菌と言い、カビの仲間です。白癬菌は実は屋外ではほとんどいないのですが、アウトドアに関連したカビの仲間がいます。
アウトドアで感染する水虫のなかま
アウトドアで感染する可能性のあるカビの感染でスポロトリコーシスというものがあります。
スポロトリコーシスは土の中などでのんびり暮らしているカビの仲間の感染です。人間に感染したいとは思っていません。しかし人間が転んでけがなどをした際に体の中に入ってしまうと、体の中でも生存できてしまうのです。
スポロトリコーシスとは
Sporothrix属の真菌が皮膚感染するものです。スポロトリコーシスとして人に感染する菌種は大きく分けて2種類です。日本では①Sporothrix.globosaが大多数を占め、②Sporothrix.schenckiiが時折感染する菌種となります。
外傷などを介して土壌や草木などに存在する菌がケガなどから偶然体内に入ってしまうと、感染が成立します。
スポロトリコーシスの菌は高温が嫌いです。このため、地表の温度が高い夏季に感染する例は少なく、秋から冬に好発します。
スポロトリコーシスの症状
アウトドアで負ってしまった外傷が治りきらない、または一旦治っても後に小さなしこりやジュクジュクした膿瘍が生じてきます。その後、病巣の周囲やリンパの流れに沿ったところに、新しい病変ができてきます。自覚症状はあまりなく、潰瘍化した部分には軽度の痛みが生じます。
リンパに沿って拡大した場合、元の病変から体の中心側に飛び石状に皮膚の結節が増えていきます。
似たような病態を示す病気としてはノカルジア症(放線菌という細菌感染)、非定型抗酸菌症(結核菌と近縁の細菌による感染)が挙げられます。
スポロトリコーシスの診断
培養、病理検査、スポロトリキン反応、PCR、が用いられます。実際には幾つか同時並行して診断していくことになります。
①真菌培養として行います。スポロトリコーシスは高温が嫌いであり、真菌培養は室温~27℃で行います。
培養が陽性であったとしても、スポロトリコーシスの同定には追加のスライドカルチャーや後述のPCR検査が必要になります。
②病理検査は、病変の皮膚を切り取って採取し、染色して診断します。様々な炎症反応やの肉芽種反応が検出されますが、決め手は特殊染色で菌要素が確認されることとなります。カビの仲間はPAS染色やグロコット染色が用いられます。
なかなか染色で発見されないことも多いこと、染色で陽性でもスポロトリコーシスと断定できない欠点があります。しかし皮膚科受診の場合、高確率で皮膚を切る検査をすることになり、同時に施行されます。
③スポロトリキン反応はツベルクリン反応の様なものです。スポロトリコーシスに感染していると菌の成分に対しアレルギーが起きるようになる反応が現れるのでそれをチェックします。
スポロトリキン液を前腕屈側の皮内に注射し、48時間後の反応を見ます。鋭敏で特異的な診断方法ですが、過去の感染も拾ってしまう欠点や、免疫が低下した方では偽陰性になる欠点があります。
④PCR検査は切り取った組織切片や、培養の菌体を使って行います。DNAを増幅させ、スポロトリコーシスの遺伝子がそこにあるか診断します。
スポロトリコーシスの治療
①温熱療法
スポロトリコーシスは高温に弱く、特に日本で主流のSporothrix.globosaは37℃以上では発育が著しく抑制されることからこのような治療が選択しになります。
使い捨てカイロで加温することを1回20分程度を1日数回行います。低温やけどに注意が必要です。他の方法と併用することもできます。
②ヨウ化カリウム内服
通常50㎎/錠を毎食後内服します。150㎎/日から開始し、胃腸症状、甲状腺機能、血中カリウムなどのデータ異常がないか確認しながら増量し、300~600㎎/日まで増量し、4~8週間継続します。
ヨウ化カリウムは結核感染の際に使用してはいけないため、結核がないかどうか事前にチェックをします。
③抗真菌剤内服
ラミシール(125㎎、1錠/日)やイトリゾール(50㎎、1~2錠/日)を4~12週間内服します。時折採血を行って肝機能異常がないか調べながら内服します。
スポロトリコーシスの予防
屋外で怪我をしたらしっかり傷を洗いましょう。これにつきます。
冬で寒くてもしっかり洗いましょう!
ちなみに私はアウトドアで遊ぶときによくミネラルウォーターを持っていきます。周りにきれいな水がない場合に怪我を洗えますし、目にゴミが入った時にも洗えます。もちろん喉が渇けば飲めますしね!
脱衣場が好きだが洗われるのは大嫌いなもみじ
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