虫と皮膚炎のおおまかな解説

山の危険

虫刺されは痒くて本当に嫌ですよね。虫の毒は、血を吸う虫と防御のために毒を持つ虫、捕食のために毒を持つ虫で毒自体の強さが違います。 血を吸う虫の場合、唾液を注入し、血液を凝固させないようにしてから血を吸います。この唾液が毒として反応します。毒が強く、痛みなどがあると相手に気付かれてしまうので、毒自体は弱く、アレルギー反応が中心になります。

虫に刺された時、すぐ治ってしまう人といつもでも痒くて困っている人がいます。何が違うのでしょうか?

虫刺されに対す反応は①毒の種類と量、②毒に対する慣れ、で差が出ます。毒に対する慣れは、体質や刺された頻度によって変わります。これが症状に大きく影響するため、個人個人症状が違うものになります。また、刺された時や掻いた時に細菌感染させてしまうと症状が変わってきます。

イメージとしては以下の通り

横軸は時間、縦軸は腫れ、かゆみなどのひどさと思ってください。

刺されてすぐ出現するのが黄色い線の反応です。これは毒の直接的な反応と即時型アレルギー(蕁麻疹と同じ反応)の合算で出現します。毒が強い場合はそれだけで赤く腫れます。蚊など唾液中心の場合は即時型アレルギー反応が中心です。即時型アレルギー反応はある程度刺され慣れてから出現するようになります。このため、小さい子供さんでは出にくいです。多くは5~30分以内に出現します。蜂刺され(後述)で全身蕁麻疹が出たりショックになるのは、この反応が強く出すぎてしまうからです。またさらに慣れるとこの即時型反応も出にくくなるとのことです。

即時型の皮疹はこんな感じです。刺されてすぐ出てくるものです。全体が盛り上がって蕁麻疹みたいな感じになります。ガサガサなどは出てきません。

刺された後、しばらくたって出てくるのが上の図の赤い線の反応になります。遅延型反応といい湿疹と似た反応です。毒にあまり慣れていない時に出現する反応です。刺されたところ全体が赤くはれ、ひどいと腕や足全体が腫れたり、刺された場所に水疱が出現してきたりします。2週間程度は反応が続くことが多いです。注意すべきは感染です。腫れは、アレルギー単独、感染単独、アレルギーと感染の同時出現の可能性があります。アレルギーの場合、かゆみ単独もしくは痛痒いことが多いです(触られて苦痛でない)。単純に痛みの場合(触られるとしんどい)は感染を疑います。不安な場合は病院を受診してください。

遅延型の皮疹はこんな感じ

均一な盛り上がりでなく、盛り上がった場所がしこりになってずっと残っているイメージです。なんとなくわかりますでしょうか?

ひどくなると以下のようにじゅくじゅくしてきたり、水疱になってきたりします。小さいお子さんは蚊の毒にも慣れていないのでこのような反応が起こりやすく「ストロフルス」と呼ばれる病態になります。これは異常なことではありません。

大きくはれてしまった場合、病院では、感染を疑って採血で白血球とCRPを採血します。ともに高ければ感染の可能性ありです。遅延型過敏反応は命に影響は出ないため、感染症の可能性があれば感染症を優先して抗生剤で治療を行います。遅延型過敏反応のみと考えた場合は抗ヒスタミン剤の内服とステロイド剤外用で治療を行います。あまりに症状が強い場合ステロイド内服を検討しますが、体へのリスクを考え通常は行いません。

症状の強い弱いは別として、ほとんどの虫による反応は上記で説明がつきます。2つのアレルギーが時間をずらして出現すること、感染が時として合併し、その場合は後から痛くなってくるので覚えておくと便利ではないでしょうか?

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