フグの毒は有名ですが、少しマイナーな毒でシガテラ毒というものがあります。
いろいろな魚がこのシガテラ毒を保有することがあります。
シガテラ毒とは
シガトキシン(ciguatoxin:CTX)を原因とし、特に魚類によるものを指します。魚類の食中毒としては世界最大規模で発生しているものです。
魚の筋肉よりも内臓に毒がたまりやすいことがわかっています。
熱帯、亜熱帯地方で発症が多く、日本で沖縄での発症が中心ですがそれ以外の場所でも散発しています。
渦鞭毛層というプランクトンがこの毒を産生しています。食物連鎖によって魚類に蓄積し、食中毒を起こします。毒を蓄積できる魚類が毒化します。シガテラ毒魚となりうる種類は400種を超えます。
シガテラ毒の症状は多様です。①消化器系症状、②神経系、③循環器系に大別されます。この毒で死亡することはまずありません。
シガテラ毒の症状
原因となる魚を摂食後数時間から24時間で症状が出現します。
①消化器症状:嘔吐、下痢です。
②神経系症状:温度感覚異常、筋肉痛、関節痛、しびれです。 疲労感や倦怠感も出現することがあります。 特に温度感覚異常はドライアイスセンセーションと言われ、シガテラ毒に特徴的です。
ドライアイスセンセーションは冷たいものに触れた際、電気刺激のような痛みを感じる症状です。この症状は冷たいものに触るまでは気が付かないことが多いです。冷水を口に含むとサイダーを飲んだようなピリピリ感をかんじたりします。かゆみも出現することがあります。これらの痛み、かゆみは移動しながら断続的に出現します。
他には口唇~口腔の痛み、金属的な味、めまい、歯が緩んだ感じ、眼前暗黒感、などの報告もあります。
③循環器症状:血圧低下、徐脈(脈拍が遅くなる)が出現します。出現頻度は16%と低いですが、病院受診のきっかけにもなります。
死亡することはほとんどありません。軽症の場合1週間程度で症状が治まります。しかし、重症の場合、数か月かから1年以上も症状が継続することがあります。
シガテラ毒の治療
病院での対応はまずは循環管理になります。
ショック状態となることがありえるため、その際は輸液負荷を含めた循環器的対応となります。
その他の症状に関しても完全に対症療法しかなく、以下の記載の方法も有用性に関してのはっきりしたデータがありません。
文献的には、①異常感覚、掻痒感に対してアミトリプチリンが用いられる。②頭痛に関してはアセトアミノフェンやニフェジピンが用いられたことがあるようです。③慢性疼痛に対してはガバペンジン、プレガバリンが有用であったとする報告があります。
シガテラ毒の予防
外観、味、においで判別はできません。加熱しても毒性が残るため料理によって失活することはありません。煮汁にも溶け出し、かつ母乳から乳幼児への移行することもあります。
予防としてはシガテラ毒になりうる魚を食べないことしかないのですが、一般的に食べられている魚でも毒化することがあるので難しいところです。
原因となる魚は400種に及びます。すべてをここで紹介することができません。日本での報告はバラフエダイ、イッテンフエダイ、バラハタ、アカマダラハタでの発症率が高く、アズキハタ、コクハンアラ、イシガキダイ、カンパチ、ヒラマサ、ドクカマス(オニカマス)、ドクウツボ、ナンヨウブダイ、サザナミハギでの報告もあります。
いずれも大型の個体が毒化しやすいことがわかっています。バラフエダイに関しては4㎏までは無毒であったと報告があります。
シガテラ毒中毒は沖縄での発症が中心ですが、紀伊半島や千葉県での発症報告もあります。シガテラ毒魚としての報告がある魚で、暖かい海での大きな個体を食べる時は注意すべきでしょう。イシガキダイではクチジロと言われる口が白色となった大きな個体で発症しています。
実際には、本州から九州ではイシガキダイとカンパチでの報告であり、大きなイシガキダイとカンパチは食べないという事に尽きるでしょう。
沖縄では多数の魚種がシガテラ毒となり、地元の漁師さんに聞くなどが必要です。また食べる時は小物を食べるようにすると安全である確率が上がります。
報告が多い魚はバラハタ、イッテンフエダイ、バラフエダイ、オニカマスです。これらの魚は見分けられるとよいでしょう。
他の魚の写真が見つけられません。シガテラ毒魚の種類と写真が美しいサイトおよび厚生労働省のサイトが参考になります。
大物が釣れた時はちょっと注意ですね。
あれ、小物しか釣れていないmomijiには関係ないかも??(ノдヽ)
シガテラ毒で苦しむもみじ??‥いやただ寝ているだけです。
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