フグの毒

海の危険

海で釣りなどしているとしょっちゅう釣れてくる邪魔者、フグ。こいつが気軽に食えればいいのに‥と思うこと数知れず。また釣り糸を咬み切れられイライラすることも多々あり‥。

こんなうまい魚、毒がなければどんなにいいことか‥。いや、美味いから毒を持たざるを得なくなったのかもしれませんね。

スポンサーリンク

フグ毒の性質

さて、フグが持つ毒はテトロドトキシンという毒です。神経毒で、筋肉を動かなくさせてしまいます。意識的に動かす筋肉に作用するため、心臓は基本問題なく動きます。呼吸ができなくなって死亡することになります。

加熱で失活することはないとされていますが、実際は半分程度は失活します。

0.5mg~1.0mgで人間1人が死ぬほどの強さを持っています。

症状としては摂取後数十分から数時間で口の周りや舌、指先などがしびれてきます。
その後しびれは全身に広がり、力も入りにくくなっていきます。しばしば頭痛、腹痛、吐き気、嘔吐が見られます。その後運動麻痺がおこり、呼吸困難となります。

症状発症後死亡まで最短1時間半、多くは4~6時間、長くて8時間とされています。

フグ毒中毒の治療

原則入院です。

摂取後、数時間から半日程度で、一気に症状が進み呼吸が出来なくなることがあります。当初は軽症でも、しっかりした経過観察が必要です。

食直後であれば胃洗浄を行うことがあります。

特効薬はありません。代謝されるのを待つ形になります。

呼吸ができれば劇的に救命率があがります。フグ毒中毒になった場合は人工呼吸を延々と続ければ基本的には助かることになります。

発症後8時間を超えると急速に回復することが多く、呼吸補助の目安は8時間以上となります。

フグ毒はどこから来るのか

フグの毒をフグは作ることができません。

フグの毒は食物連鎖でフグに蓄積します。まず、毒を作るのは海中の細菌などです。マイクロコッカス、バチルス、アシネトバクター、アエロモナス、ビブリオなどの細菌がテトロドトキシンを産生することが知られています。

ここで産生されたテトロドトキシンはプランクトンの死骸などに吸着します。それをヒラムシなどの底生生物や小型の貝が食べることによって毒を運び、それらを食べたフグが毒化することがわかっています。

様々な魚が皆毒化しないのは、毒の蓄積がないからです。一般的な魚はテトロドトキシンを摂取しても多くは蓄積せず、排出してしまいいます。フグはこの毒を蓄積して身を守っています。

フグの毒は①フグの種類(毒をどれだけため込むことができる能力を持っているか)、②摂取する場所(種類別で毒の分布が違います)、③地域差、個体差(フグが何を食べていたか)によって規定されます。

養殖のフグは毒のない餌を食べているので、全身無毒です。しかし毒を食べていないと「イライラする」ようで喧嘩や尾かじりなどが頻発し、傷だらけになっていきます。毒のある餌を好むこともわかっており、意識的に毒を蓄積しているようです。

フグの種類と毒性(テトロドトキシンに関して)

大まかな前提として、フグの身は無毒もしくは弱毒です。

困るのが身にも強毒を持つタイプがいることです。

身が強毒になるフグ

身が強毒になるフグは3種類+αです。まずはこの3種類+αを見分けましょう。

①ドクサバフグ

ドクサバフグ
ドククサバフグ。東京都市衛生研究所のサイトより引用

無毒のクロサバフグ、白サバフグとそっくりなのに全身猛毒という厄介なものです。クロサバフグは背中側が黒っぽく全体は銀色の光沢があります。シロサバフグは背面が黄色っぽく、全体に銀色の光沢があります。ドクサバフグはどちらにも似ています。

鑑別点は以下の通りです。

①背中の小さな棘が背ビレまで存在すること。②尾びれの形が丸くなく絵でかいたような普通の魚のような形(下手ですみません)かつ尾びれの先端が白くない。

見分けるのはかなりむつかしく、かつサバフグはあまりおいしくないのであえて食べる必要はないかな~。

②フタツボシフグ

フタツボシフグ
フタツボシフグ。東京都市衛生研究所のサイトより引用

【特徴】シマフグほど鮮明ではないが、黒い模様がある。胸びれ基部と後方上部に黒紋がある。背面・腹面に小棘が密生する。中国側の研究によると、筋肉は強毒である。
【分布】黄海、東シナ海、南シナ海

東京都福祉保健局 東京都市場衛生検検査所のサイトより引用

③コモンダマシ

コモンダマシ
コモンダマシ。 東京都市衛生研究所のサイトより引用

【特徴】コモンフグによく似ている。黄褐色の地色に様々な小白点があるところ、背面の小棘の基部は白く顕著な微小は白点になっている点で、コモンフグと区別できる。全長24センチメートル程度の小型種。毒性については、筋肉は有毒、他の部位についての詳細は不明である。
【分布】黄海、東シナ海、南シナ海

東京都福祉保健局 東京都市場衛生検検査所のサイトより引用

地域によって毒化するもの

岩手県の越喜来湾と釜石湾、および宮城県の雄勝湾で漁獲される「コモンフグ」と「ヒガンフグ」の筋肉は、非常に毒性が強いので、食用として許可されていません。

④コモンフグ

コモンフグ
コモンダフグ。 東京都市衛生研究所のサイトより引用

体色は暗緑褐色地にほぼ円形の小白点がある。尻びれが淡黄色であることで、ショウサイフグ、ナシフグと区別できる。コモンフグの背面・腹面には小棘が密生している。全長25センチメートル以下の小型種

東京都福祉保健局 東京都市場衛生検検査所のサイトより引用

⑤ヒガンフグ

ヒガンフグ
ヒガンフグ。 東京都市衛生研究所のサイトより引用

体色は暗褐色地に黒斑が散布している。体表前面に皮質の小突起が散在しているが、棘はない。全長35センチメートルになる中型種。

東京都福祉保健局 東京都市場衛生検検査所のサイトより引用

⑥オキナワフグ

あまり情報がありませんが筋肉も強毒と書いてあるものがあり、記載させていただきました。

身が弱毒のフグ

弱毒は、100g以下の摂取量では死なない程度の毒力です。故に食用とされます。身だけにしてしっかり洗うことが大切です。

①クサフグ

②コモンフグ:地域によって強毒化(既出)

③ショウサイフグ

④シロアミフグ

⑤センニンフグ

⑥サンサイフグ

⑦ミドリフグ

注意すべき毒化

①ナシフグ

本来身には毒がないが、冷凍→解凍などによって毒部分から筋肉部分に毒が移行してしまうことがあります。

②普通の魚の毒化

フグの多くは皮に毒を持っています。危険が迫ると皮膚から毒を分泌します。

釣りの際、普通の魚とフグを一緒にバケツに入れておくと、苦しんだフグが毒を分泌し普通の魚に毒が移行してしまうことがあります

フグは普通の魚とは分けて保存するようにしましょう!

毒が不明なフグも多く存在します。以下のサイトも参考にしてみてください。

①食用にできないふぐ(例示) ②ふぐの毒の強さを部位や種類別の一覧表で分かりやすく解説

まとめ

フグの多くは筋肉部分が弱毒~無毒でさばいてしっかり洗えば食べられることが多いです。しかし強毒のフグも存在し、鑑別が難しいです。「フグを食べなければ死ぬ」みたいなサバイバルの場合には思い出してみてください。

ちなみに捌くときはうつぶせに寝かせて首の後ろから包丁一気にを入れます。露出した身を手でつかんで引きずり出すとさばけます。簡単。その後しっかり洗います。

フグを食べる時は自己責任でお願いします。

フグを食べてのびている猫‥ではありません。エビフライかな!?

コメント

タイトルとURLをコピーしました