「青魚で蕁麻疹が出る」という噂をよく聞きます。
実際に魚を食べて蕁麻疹が出ることがあり、注意が必要なのですが、ここには色々なパターンがあります。
蕁麻疹は赤く盛り上がり、数時間単位で出現、消退するのが特徴です。
ヒスタミン中毒
青身魚や赤身魚に含まれるヒスチジンがmorganella morganiiなどの細菌の酵素によってヒスタミンという物質に変換されます。これは蕁麻疹をつくる物質そのものであり、このヒスタミンを直接摂取することで蕁麻疹が出現してきます。
マグロ、カツオ、ブリ、サバ、イワシでよく出現します。
ヒスタミンは熱に安定であり、干物や焼き物でも発生してしまいます。
摂取後比較的速やかに蕁麻疹、消化器症状、呼吸器症状が出現します。
厳密にはアレルギーではないため、同じ食事を食べた他の人も発症し、食べた量に依存します。
採血などでは検査ができず、ヒスタミン変換されていなければ同じ魚を食べても発症はしません。
魚アレルギー
幼少時期から成人期で発症します。
アトピー性皮膚炎がベースにあることが多く、魚が湿疹に繰り返し触れることで徐々にアレルギーを獲得してしまい、蕁麻疹が発症していきます。
接触した場所に蕁麻疹がt出る(接触蕁麻疹)、食べた際に口の中で蕁麻疹が出る口腔アレルギー症候群(OAS)として発症することが多く、悪化すれば摂取で全身蕁麻疹~アナフィラキシーショックとなります。
時として食後に運動した際に初めて蕁麻疹が出現する「食物依存性運動誘発性蕁麻疹」として発症することもあります。
魚アレルギーは「パルブアルブミン」という物質が原因になっていることが多く、魚種を選ばず、多くの魚で蕁麻疹が出現してしまいます。魚アレルギーの2/3はこのパルブアルブミンが原因とされています。
血合いではパルブアルブミンの含有量が少なく、出現しにくい傾向があります。かまぼこやシーチキンでは出ないことが多いようです。
検査ではアジ、カレイ、鮭に反応が出やすいとの報告があります。
魚アレルギーの残り1/3を占めるのがコラーゲンが原因のアレルギーです。魚コラーゲンは他の動物のコラーゲンとのリンクはなく、他のコラーゲンは食べられるようです。
この蕁麻疹は調理の際など、皮膚のアレルギー部位に魚が付着することで体が徐々にアレルギーとなっていくため、手荒れがひどい方などは手袋をして調理するなど予防するのが理想です。
寄生虫蕁麻疹
いわゆるアニサキスアレルギーです。
中年以降(45歳以降)に発症することが多いと報告されています。
魚類摂取後すぐ(数分)に蕁麻疹が出現する場合と、食後数時間たって蕁麻疹が出現する場合があります。
日本人はアニサキスに対する特異的IgE抗体(←蕁麻疹を作る物質)を26~52%程度の人が持っている言われ、年齢によって上昇します。しかし全員が発症するわけではないようです。
生魚を食べる食習慣が関係していると推察されています。
アニサキスのアレルギーは治りにく、重度ではアナフィラキシーも発症します。
16種類の物質がアレルギーを起こすと考えられており、一部は熱耐性があるため、加熱していてもアレルギーを引き起こします。
アニサキスIgE抗体の存在に加え、摂取した魚のIgEが陰性であること、摂取した魚のプリックテスト(魚をちょっと針で刺してその針で血が出ない程度に皮膚を刺し、そこに蕁麻疹が出るかチェックする検査)が陰性であることが診断に必要と言われています。
カレイの卵蕁麻疹
カレイの魚卵は、ダニの唾液中のα-galという物質に似た物質を持っています。このためマダニに咬まれた後、カレイの卵を食べて蕁麻疹が出るようになることがあります。
B型の血液に近い成分であることがわかっており、B型、AB型に人は発症しにくいです(もとから似たものが体の中にあるため)。
この蕁麻疹は摂取後3時間以上経過して発症することが多く、普通の蕁麻疹とは時間経過が異なるのが特徴です。
病院に行く前に食べた者や食後何時間で蕁麻疹が出たかメモしておくと原因検索がしやすくなります。
俺は毛むくじゃらだから蕁麻疹になってもバレないぜ♡
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