~海(クラゲに刺されたとき)~

海の危険

海遊びで刺される代表格といえばクラゲでしょう!クラゲ含む刺胞毒刺症の症状をまとめました。症状と対処は大まかに以下の通りです。

  • 急性期では炎症(軽症から重症まで様々)、浮腫、潰瘍が出現する
  • 刺傷部以外にも病変が散在して出現する
  • 7~14日後に炎症、浮腫を伴って病変が再燃する(アレルギー)
  • 色素沈着、潰瘍、壊死、脂肪委縮を伴って症状が遷延する
  • 全身症状としては心筋障害、呼吸障害、肝障害、腎障害、心源生ショック、アナフィラキシーショックがあり得る

刺されたときの初期対応として、まず二次災害を防ぐところから考えます。クラゲの触手がまだ皮膚に付着している場合は軍手やプラスチックのカードなどでそっと取り除きます

ハブクラゲ、アンドンクラゲは酢をかけると刺胞の破裂を抑制でき、二次災害を防ぐことができます。しかしその他のクラゲではまだ調査ができておらず効果は不明です。カツオノエボシでは逆に悪化することがわかっており酢をかけてはいけません。

何に刺されたかわからないときは酢は使用せず、触手を取り除いた後、海水で優しく洗浄します。真水で洗うと刺胞が破裂するため使わないようにしましょう

温めるか冷やすかについては議論があり、まだ確定的なことが書けません。わかれば更新していきます。最近は温めたらよいとの記載がありますが‥。

病院での治療は、軽症の場合抗ヒスタミン剤の軟膏、ステロイド軟膏外用とします。中等症から重症の場合、抗ヒスタミン剤及びステロイドを静脈投与します。再燃予防目的にはプレドニゾロン30㎎程度を投与し、漸減。1-2週間行います。全身状態の変化に対しては対症的に呼吸、循環管理を。二次感染予防に抗生剤の投与と破傷風トキソイドの投与を検討します。難治性創傷に対しては高圧酸素療法が有効とされています。

①ハブクラゲ

沖縄以南に生息しています。触手が皮膚に付着しているときは酢をかけてから取り外すことが有効です。重症化するリスクがあるので注意が必要です。10歳以下の小児での刺傷は特に注意し、すぐ病院へいきましょう。

②アンドンクラゲ

すみません画像が用意できません。ハブクラゲを小さくして足を4本にしたようなクラゲです。

ハブクラゲ(前述)の近縁種です。小型のクラゲで傘部分は3㎝程度、それに20㎝程度の足が4本ついています。日本全国に生息、 触手が皮膚に付着しているときは酢をかけてから取り外すことが有効 です。

症状としては、ハブクラゲよりは弱く、痛みやかぶれ程度ですむこともことも多いです。しかし、皮膚が弱いところでは激しく痛み、水疱なども出現します。ひどい場合には呼吸困難なども引き起こすことがあります。

③カギノテクラゲ

日本海に多い。数センチ程度の小さなクラゲで、海藻の繁殖する岩場に多く生息しています。生の海藻を摂取した際に全身少症状が出ることもあるとのことです。体に十文字の模様があり、触手の1っか所が曲がりカギ状にみえるのが特徴です。

毒は強力です。症状としては刺傷部の痛みと熱感、浮腫、腫脹、水疱形成。重症例では受傷後30分~60分で筋肉痛や関節痛が起こり、運動麻痺、意識障害、視覚障害、聴覚障害、錯乱、幻覚などの精神障害も出現し得ます。

酢の効果は不明です。

④カツオノエボシ

出典:Portuguese man o’ war by Joi

全体像 触手が長い。

傘部分の拡大です。上の部分をヨットの帆のようにして風を受けて移動します。

カツオノエボシは厳密にはクラゲではなく、ヒドロ虫の群体です。ここではクラゲの欄にあえて入れさせていただきました。暖かい海に生息しています。

毒は強力です。刺された場合の症状としては、全身がしびれるように痛みます。重症になると、嘔吐、血圧上昇、呼吸困難、心臓毒性でショック状態になることもあります。

カツオノエボシの触手を除去するとき、酢をかけると刺胞が破裂して症状が悪化するため使用してはいけません。洗うのは海水で行いましょう。

⑤ハナガサクラゲ

出典:マカロニ KIUKOさん撮影

本州中部から九州沿岸のやや深い海に春から初夏にかけてみられます。傘は直径10~15cm。なかなか泳がず、水草などにくっついていることが多いとされています。

毒は強力です。刺されると激痛がありますが、死亡例はないとのことです。

酢の効果は不明です。

⑥アマクサクラゲ

出典:Shinagawa Aquarium: Malaysian Jellyfish by Dick Thomas Johnson

主に西日本(特に九州)の沿岸に出現します。傘は直径6~10㎝の扁平な半球型で、表面には刺胞を含む小さな突起が放射状に並んでいます。

強毒で刺されるとかなり痛みがあるようです。

酢の効果は不明です。

⑦アカクラゲ

北海道以南に広く生息しています。傘は直径20㎝程度まで成長するやや大型のクラゲです。

毒はそれほど強くはありませんが、刺されると痛み、水疱なども出現することがあります。刺胞がそれほど長くないので全身状態にに影響するほどの刺傷には通常なりません。皮膚が薄い小児で高血圧による脳症などの全身状態変化が報告されています。また乾燥した粉を吸い込むとくしゃみが止まらなくなる様です。

酢の効果は不明です。

⑧ミズクラゲ

もっともよく見かけるクラゲです。

弱毒でちくちく痛む程度です。皮疹も通常出ません。敏感な人は皮疹などが出るかもしれません。

酢の効果は不明です。

クラゲ刺傷追記

クラゲに刺されていると納豆アレルギーになる場合があります。クラゲの毒(ポリγグルタミン酸)に対しアレルギー反応を起こした際、分子構造の似た納豆の成分にも反応するようになってしまうことがあるようです。このアレルギーは蕁麻疹として発症します。通常の蕁麻疹は食事後1時間以内に発症すことが多いですが、納豆による蕁麻疹は数時間から半日経過してから発症するという特徴を持っています。クラゲに刺されている人に変な蕁麻疹ができて原因不明の場合、疑ってみて下さい(注;蕁麻疹の多くは原因が見つかりません)。

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