パリトキシンは西日本を中心に時折出現する食中毒です。
マイナーな毒ですが死に至ることもある猛毒です。
パリトキシンとは
パリトキシンは渦鞭毛藻のOstreopsisが産生することがわかっています。サンゴ礁に生息するイソギンチャクのイワスナギンチャクに存在することが最初に同定されており、食物連鎖で特定の魚介類に蓄積されると考えられています。
アオブダイ(ほとんどこの魚)とハコフグでの中毒が報告されており、魚の中では肝臓に蓄積することが多いと考えられています。
青い魚がアオブダイです。
パリトキシンを摂取すると数時間から24時間位で中毒症状が発症してきます。
パリトキシン中毒の症状、検査、治療
①症状
筋肉痛、歩行困難、胸部の圧迫感、呼吸困難、麻痺、痙攣が出現し、重症では死に至ります。原因摂取後数時間から24時間程度で症状が出現し、中毒発症から死亡するまでの時間は十数時間から数日です。
パリトキシン中毒の特徴は、筋肉融解による激しい筋肉痛です。
②検査
筋肉が融解するため、数日でCPKが急激に上昇します。それに伴いミオグロビン尿(黒褐色の尿)となります。AST,ALT,LDHの上昇を伴います。
診断は食べた魚の種類を聴取することと、筋肉痛を伴う全身症状で可能ではないかと考えます。
③治療
パリトキシン中毒の治療は持続的血液ろ過透析が有効と考えられています。透析がどのような機序で有効なのかの記載はありませんでした。おそらく毒自体の排出ではなく、筋肉融解後の代謝産物を除去し、腎不全を予防していると推察します。
パリトキシン中毒の予防
アオブダイ、ハコフグによる中毒が日本では報告されています。他にはブダイ、ハコフグの仲間のウミスズメもこの毒を持つことがあります。
また日本ではありませんが、クロモンガラというフグ科の魚や、ソウシハギで中毒の報告があります。ヒロハオウギガニという蟹もこの毒を持っていることが知られています。
日本ではアオブダイを食べての中毒例が多いです。アオブダイはサンゴを好んで食べることがわかっており、イワスナギンチャクを介して毒化していると考えられています。
中毒を完全に防ぐには上記の魚介類を食べないことに尽きます。しかしアオブダイは普通に食べられている魚ですし、難しいところです。肝もおいしいそうです。肝に毒がたまりやすいことがわかっているため、アオブダイを食べる時は肝を食べないようにすると安全率が高くなると考えられます。
厚生労働省のサイトにもパリトキシンのコーナーがありました。厚生労働省、すごいですね。
おやつもらってない詐欺をはたらくもみじ、アオブダイを盛ってやろうかい!(*_*)
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