二枚貝に発生する貝毒、アサリだって毒になる。

海の危険

アウトドアで「サバイバル生活」をしてみたいと思ったことはありませんか?私(momiji)は何度も計画しましたが、しっかりとした「サバイバル生活」は結局できていません。

サバイバル生活を想定した時に食料として一番入手しやすいのが貝ではないでしょうか?

岩にへばりつているものを採って食べるもよし、掘って食べるもよし。

こんな簡単に入手できる食料はあまりありません。昔の人類は絶滅に瀕した時、貝を食べて生き残ったなどとの考察もされていますね。

誰でも楽しめる潮干狩り

しかし、貝であたることがあります。ノロウイルスのみならず、貝は様々な形で毒を持つことがあります

簡単な鑑別方法は、地元の人が採って食べていれば安全!です。ちょっとセコイ気もしますが‥

さて、二枚貝が毒になるパターンを見てみましょう。

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麻痺性貝毒

アサリ、牡蛎をはじめとしてムール貝(ムラサキイガイ)、ホタテ貝など多くの二枚貝が毒化します。

アサリ
ホタテ

二枚貝以外でもプランクトンを食べている「ホヤ」や二枚貝を食べる巻貝、セイヨウトコブシ、トゲクリガニ、ホシフグからも検出されることがあります

マボヤ、出典:厚生労働省ホームページ
トゲクリガニ、出典:厚生労働省ホームページ

麻痺性貝毒の症状

食後約30分で発症。舌、唇、顔面、手足のしびれ、運動失調が出現します。重症の場合には、1日以内に呼吸麻痺で死亡することがあります。12時間を越えれば、回復に向かいます。

呼吸筋麻痺になってしまった場合は人工呼吸でしのぐしかありません。

二枚貝の産地では毒性の検査が定期的に行われており、クリア(4MU/g以下で合格)しないと出荷できないため、売られているものは安全ですが、自分で採って食べるとなると毒の可能性を考えておく必要があります。

麻痺性貝毒の原因

二枚貝は海水中のプランクトンを食べており、毒化したプランクトンを食べることで毒を体内に蓄積してしまい毒化します。

毒を産生するプランクトンは渦鞭毛藻類のプランクトンで、以下の種類です。

  • Alexandrium catenella(赤潮になるレベルで毒化,赤潮の際は海がやや発光)
  • Alexandrium tamarense(赤潮にならなくても毒化)
  • Alexandrium tamiyavanichii (比較的少数の発生でも毒化)
  • Gymnodinium catenatum(比較的少数の発生でも毒化)

麻痺性貝毒はフグ毒と構造が似ています。サキシトシン(STX)、ゴニオトキシン(GTX)、など20種類以上に分類されています。

麻痺性貝毒は中腸線(肝臓と膵臓の合わさったもので、アサリを剝いた時の黒い部分)に蓄積します。

中腸線は矢印でさした黒いところ!

予防

一般的な調理や加熱では無毒化されません

また味、匂いでも判別できません

毒化部位は中腸線であり、ここを取り去って食べれば基本的には問題ないこととなります。

下痢性貝毒

二枚貝が広く毒化しますが、ムール貝(ムラサキイガイ)の毒化が特に多く、毒性も強いとされています。

ムール貝

下痢性貝毒の症状

症状は腸炎ビブリオに似るといわれていますが、発熱がなく、軽症です。食後約4時間で発症します。 下痢(水様便)や腹痛、嘔吐、はき気などが出現します。通常は、3日以内に回復します。死亡例はありません。

下痢性貝毒も毒性の検査が定期的に行われており、クリア(0.05MU/g以下で合格)しないと出荷できないため、売られているものは安全です 。

下痢性貝毒の原因

下痢性貝毒も海水中のプランクトンが原因です。

下痢性貝毒も薄鞭毛藻類が毒を産生しており、以下の種類が中止となります。

  • Dinophysis fortii (日本での下痢性貝毒箱のプランクトンが多い)
  • Dinophysis acuta
  • Prorocentrum lima(付着性の渦鞭毛藻)

毒の成分としては、オカダ酸、ジノフィシストキシン類、ペクテノトキシン類、イェソトキシン類が中心です。

予防

一般的な調理や加熱では無毒化されません

また味、匂いでも判別できません

毒化部位は中腸線であり、下痢性貝毒に関しても中腸線を取り去って食べれば基本的には問題ないこととなります。

その他の貝毒

①アザピロ酸中毒

ムラサキイガイでの報告が中心ですが、アサリ、ホタテ貝、牡蛎でも報告されています。

下痢性貝毒に似ますが区別されています。

薄鞭毛藻類のProtoperididinium crassipesが原因とされています。

こちらは日本での発生はありません

中腸線以外の筋肉部分まで毒化するのが特徴です。

②記憶喪失性貝毒

ムラサキイガイなどで報告されています。

嘔吐、神経障害(運動感覚障害,記憶障害)が起こり、重症例では心臓麻痺、昏睡などで死亡することもあります。

珪藻のPseudo-nitzschia属が産生するドウモイ酸が原因です。

日本での発生はありませんが、国内のムラサキイガイでも低濃度のドウモイ酸が確認されており、リスク0とは言えないようです。

③神経性貝毒

食後30分~3時間程度で発症します。

死亡例はありませんが、口腔内の灼熱感、吐き気、下痢、悪寒、温度感覚異常、血圧低下、不整脈、しびれ、全身麻痺、痙攣など多彩な症状が出現します。

渦鞭毛藻類のKarenia brevisが産生するブレべトキシンが原因です。赤潮になった際に毒化することが多いようです。

日本での発生はありません。

貝毒にあたらないためにできること

二枚貝はすべて毒化することがあります。

売られているものは検査されているため問題ないとして、自分で採る場合、一番簡単なのは地物の人が採って食べているかどうかです。赤潮の時は特に注意が必要です。

赤潮

もしおいしそうな貝がゴロゴロとれるのに地元の人が全く採っていなければ「ちょっと怪しい」と考え、食べても問題ないか聞いてみましょう。

サバイバルなどで人に聞けない時はまず中腸線(黒っぽい内臓)を取ってから少量を食べてみます。数時間経って問題なければ食べる量を増やしていけばより安全に食べられます。

一応警戒して、慎重に!

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