アウトドアライフで避けて通れないのが日光です。
一般的には日光は悪者と考えられており、それはほぼ正しいです。日光の人体への影響は多岐にわたります。
日光は波長によって分類されており、私たち人間が生活でものを見るのに使っている波長は可視光線です。それ以外に赤外線、紫外線があります。
赤外線は温度上昇を起こす波長となります。人体へ大きな影響があるのは重に紫外線です。
可視光線
可視光線で誘発される病気
可視光線の人体への悪影響はあまり知られていませんが、日光蕁麻疹というものがあります。読んで字のごとく、日光に当たって蕁麻疹が出るものです。
日光蕁麻疹は日光に当たってからすぐ(数十分以内)に発症してきます。日光に当たってすぐに皮疹が出現し、日陰に入ると通常30分以内に皮疹はなくなっていきます。蕁麻疹の特徴は、数時間以内に出たり入ったりすることです。
日光によって蕁麻疹が出る場合はこの可視光線が原因であることがわかっています。
一般に日光アレルギーと言われる皮疹は日光暴露後1~2日で出現し、最低数日から2週間は皮疹が継続することで区別ができます。
なるべく日光に当たらないこと、抗アレルギー剤内服で加療をします。
紫外線
紫外線は波長によって3つに分類されます。
- UVA:波長315~400nm
- UVB:波長280~315nm
- UVC:波長200~280nm
紫外線で誘発される病気
いわゆる「光線過敏症」UVAとUVBが関与していることが多く、軽症の「多形日光疹」重症の「慢性光線性皮膚炎」に分けられます。一旦発症すると日光に当たっていなくても数日から2週間程度は皮疹が継続します。
内服薬や外用薬+日光でアレルギーを起こすことがありますが、そこに関与する日光も紫外線(多くはUVA)です。
湿布の「ケトプロフェン」という成分はこの光線過敏を起こすことがあります。ケトプロフェン含有の湿布を貼ってから日光に当たるとかぶれることがあるのです。このかぶれは湿布を貼ってから数か月たっていても発症します。昔に湿布を貼った場所に四角形のかぶれが出てきた場合は湿布の光線過敏を疑うといいでしょう。
唇は日焼けで黒くなることができないため、日光に弱い場所です。繰り返して日光暴露されることで日光口唇炎という慢性炎症を引き起こすことがあります。口唇が慢性的に荒れてひどいとじゅくじゅくしてきます。一旦出現してしまうと難治で癌の発症母地にもなってしまいます。
紫外線の各波長における一般的な特徴は以下のようになります。
UVA
UVAは窓ガラスを通過します。このため窓越しの太陽光にもUVAは入っています。
人体の中では真皮(コラーゲンがある層で、皮下脂肪組織の上)のレベルまで到達します。
UVAのメリット
実はUVAに大きなメリットはありません。強皮症などコラーゲンが過多になり皮膚が固くなってしまう病気の際、照射すると皮膚が軟らかくなる可能性が指摘されています。
日焼けサロンの光線はこのUVAを使っています。
UVAのデメリット
UVAはコラーゲンの層に達してコラーゲンを編成させます。変性したコラーゲンのため、お肌の張りがなくなり、しわやたるみの原因になります。
薬剤の内服や貼付に日光が加わることでアレルギーが発症することがあります。その場合の多くはUVAが中心としてかかわっていることが多いです。
UVB
最もお肌の健康とかかわる波長です。
UVBはほとんどガラスを通貨できません。このため窓ガラス越しの日光でのUVBは考慮しなくてよいことになります。
人体の中では上皮(角質を作る細胞の壁)の下部からコラーゲンの上層まで到達します。
UVBのメリット
UVBのメリットは大きく分けて3つです。
①ビタミンD合成
よく言われる日光のメリットです。余り長時間の露光は必要なく、両手の面積×15分位の日光暴露で十分です。
干物やキノコを食べてもビタミンDは補うことができます。
②皮膚の免疫力低下(デメリットでもある)
UVBが当たると表皮内のランゲルハンス細胞という免疫誘導の細胞が激減することがわかっています。免疫力が低下するため、湿疹などのアレルギー性の病気は一般に軽快しやすくなります。
皮膚科ではUVBを照射する治療も行われています。(ただし病院でのUVBは一般的にナローバンドUVBと言ってUVBのデメリットである発がん性、日焼けを極限まで抑えたものになります。)
免疫力が低下すると反対にニキビやヘルペスは出やすくなってしまいます。
③かゆみの神経を抑える。
これはあまり世間で知られていないメリットと思います。
皮膚に何も湿疹がないのに痒いことはありませんか?湿疹が過去にあったり、乾燥が続いている状態だと神経が伸びてくることがわかっています。
通常かゆみの神経はコラーゲンの上部までしか手を伸ばしていません。しかし、湿疹や乾燥の刺激が慢性的にあることで角質内まで神経が伸びてきます。こうなると微弱な刺激でもかゆみが出現してしまいます。
この伸びてきた神経が再度コラーゲンの中に戻って行ってくれる条件があります。それが保湿剤、ステロイド外用剤(慢性の炎症を抑えることで)、UVBなのです。
UVBが表皮の細胞に当たると、セマフォリン3Aという物質が出現することがわかっており、この物質が神経を表皮内から追い出すと考えられています。
基本、人間の敵と考えらえているUVBですが、このようにかゆみを抑える良い役割もしています。乾燥などで痒い人は少しずつ日光浴するとかゆみが楽になる場合があります。(個人差があること、日光過敏の人、長期暴露で発がんのリスクがあるので慎重に)
UVBのデメリット
デメリットはたくさんあります。
①皮膚の発がん
UVBは表皮に吸収される際、細胞のDNAを傷つけてしまいます。通常この傷ついたDNAは修復されますが、何度も傷つけられていくとダメージが残り、変質し、癌になっていきます。
日光角化症という前癌病変を経てゆっくりと皮膚癌へと進展していきます。
②日焼け
海で泳いで全身真っ赤になって痛いやつです。
ひどければ皮膚が剝けてしまい、やけどと同じような状態となります。真っ赤になって痛い時は炎症を抑えるべくステロイド外用剤を使います。
③シミ、そばかす
日焼けを繰り返すことでシミやそばかすが増えていきます。
④皮膚の乾燥
UVBが当たると肌は乾燥しやすくなります。湿疹を良くし、かゆみを止めることもあるUVBですが、強く当たって肌を乾燥させてしまうと皮膚のバリアが低下し、逆に肌荒れ、湿疹の原因になってしまいます。
⑤免疫力の低下
メリットの部分で記載した免疫力低下はそっくりそのままデメリットでもあります。
湿疹などアレルギー反応は一般に軽快しますが、感染症には弱くなってしまいます。このため、ニキビの悪化、ヘルペスの出現などがUVBで引き起こされます。
⑥目の障害
簡単に言うと雪眼です。UVBの暴露後眼痛、流涙、異物感、結膜充血、浮腫、角膜糜爛などが起こります。重症では角膜潰瘍になります。通常24~48時間で軽快します。
また翼状片と言って眼球結膜が黒目の方向に侵入していく現象を引き起こします。白内障の原因にもなります。
UVC
通常はオゾン層で吸収され、地上には届かない光線です。
DNAに強い障害があります。「オゾン層の破壊で癌が増えるかも」というのはこのUVCが地表に届くようになることを意味しています。
UVCのメリット
殺菌灯に使われます。
222nmの波長をもつ殺菌灯は人の皮膚に当たっても角質で止まってしまい細胞に届かないため、人体に障害が出ないことが証明されました。
UVCのデメリット
DNAの障害から皮膚がんを誘発します、また白内障も誘発します。
日焼け止め
紫外線は良い面もありますが、多くの人にとっては有害なことの方が多くなります。そのためアウトドア活動の際は日焼け止めを使用するのがおすすめです。
SPFはUVBに対する防御効果、PAはUVAに対する防御効果を示します。共に高い方が効果があります。UVAは曇りの日でも結構地上まで届いており、長期的なしわ予防の観点からは曇りでも日焼け止めを塗っておいた方がベターです。
日焼け止めは大きく分けて紫外線吸収剤(ケミカル)と紫外線散乱剤(ノンケミカル)に分類されます。
紫外線吸収剤(ケミカル)はやや塗り心地が良いのが特徴です。、紫外線散乱剤(ノンケミカル)は肌へのなじみが悪く、塗り心地が悪いことが多いのですが、皮膚への刺激が少ないのが特徴です。
お肌のことを考えると紫外線散乱剤(ノンケミカル)がおすすめになります。
外用剤とニキビの関係
肌に日焼け止めや化粧品を外用する際注意しておく方が良いのがニキビに対する影響です。
何かを肌に塗るときは毛穴をふさいでしまう可能性があります。毛穴が詰まってしまうと皮脂がうまく分泌できず、ニキビの原因になってしまうことがあるのです。
日焼け止め、化粧品ともに外用しても皮脂がちゃんと分泌できるか実験されているものを使う方が良いことになります。
ちゃんと実験ができているものは「ノンコメド」とか「ノンコメドジェニック」と記載してあります。(コメドとは皮脂が毛穴に詰まった状態のことを指します。)
日焼け止めに関してだとSPFが高く、PAが高く、ノンケミカルでノンコメドがおすすめということになります。
また、長時間外に出るかたは日焼け止め効果のあるリップクリームの使用がおすすめです。
紹介しようと思っていた商品がアフィリエイトに見つからないのでまた良いと思われるものがあれば載せていきます。
下、インドア派の猫(もみじ)
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